死亡事故
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死亡事故
福岡県大牟田市に住んでいる父が、原付バイクを運転中、対向方向から居眠りでセンターオーバーしてきたクルマにノーブレーキでぶつけられる交通事故に遭い、死亡しました。
まず平成以降の裁判例を紹介します、おおむね3類型に分けることができます。
第1、香典(かっこの中は金額)全額を損益相殺の対象として、全額を内払いとしてのちの賠償総額から差し引いた裁判例
名古屋地裁1998/5/15交民集31巻3号661頁(50万円)
第2、香典全額が損益相殺の対象とならず、受け取った香典全額をのちの賠償総額から差し引かなかった裁判例・・・最も多い
大阪地裁1993/3/17交民集26巻2号359頁(7万円)
大阪地裁1994/5/26交民集27巻3号701頁(金額を明示せず)
大阪地裁1990/5/17交民集23巻3号634頁(50万円)
神戸地裁2008/11/21交民集41巻6号1459頁(100万円)
岡山地裁1986/6/30交民集19巻3号927頁(5万円)
第3、受け取った香典の一部のみ損益相殺の対象とならないとした裁判例
大阪地裁1994/8/26交民集27巻6号1907頁(100万円のうち
30万円は損益相殺の対象とならない)
大阪地裁1993/2/22交民集26巻1号233頁(60万円のうち
30万円の香典は損益相殺の対象とならず残り30万円の見舞金は
損益相殺の対象になる)
大阪地裁1985/4/26交民集18巻2号591頁(160万円のうち、
たとえ損益相殺の対象としない旨当事者間で合意したと
うかがわれる書面があっても、社会通念上、損益相殺の対象と
ならないのは10万円までであって、それをこえる150万円は
支払名目にかかわらず損益相殺の対象となる)
調べたところ、昭和の時代の裁判例では、被害者の遺族自らが請求の際に先行して受け取った香典を金額の多寡を問わず損益相殺の対象に組み込んでいることが珍しくなかったようで(例えば、3万円の香典を損益相殺した千葉地裁1985/9/9交民集18巻5号1204頁)、香典が損益相殺の対象となるかは正面から争われていなかったようです。
上記裁判例を俯瞰して気づくのは、見舞金と異なり、香典の場合は、損益相殺の対象とそもそもならないのではという考えが主流のようです。
見舞金と同様、抽象的には香典もまた「損害賠償と関係の無い単なる社会生活上の儀礼的な意味での贈与の範囲ならば損益相殺の対象とならない」と画されているのですが、香典を包む者の本意としては、遺族に対するのちの損害賠償の内払いに宛ててほしいという意図が薄く、むしろ亡くなられた被害者に対する弔意を濃厚に込めた贈与と解釈するのが自然だからというのが見舞金との差かと。
あと、見舞金と同様、香典も儀礼的な贈与という位置づけですから、その支給はあくまで加害者の自由かつ任意な判断に委ねられるもので、被害者の遺族から加害者に香典の拠出を請求する権利があるわけではありません。
また、香典を損益相殺しないことが原則とされていることと関連して、香典返しにかかった経費は加害者に賠償請求できないと一般に扱われています(東京地裁1968/7/20交民集1巻3号807頁)。
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