交通事故の示談後に想定外の後遺症が発生したときは?

Question

 4か月前に歩道を歩行中に交通事故に遭い、前腕骨単純骨折の怪我を負いました。主治医には全治3カ月の見込と診断されました。ただ骨折の予後がよく、2週間で退院し、すぐ仕事に復帰し、1か月めには骨がくっついて、3カ月めには病院にもほとんどいかずに済む感じになりました。
 相手損保から先日示談の提示があり、私も早く解決したかったのと、わりと軽い怪我と思って、慰謝料と休業損害を含めた示談を交わしました。示談書には「今後、本件事故による一切の請求をしない」という言葉が盛り込まれていました。
 ところが、示談をしてから1カ月後、別の箇所を負傷していたことが明らかになり、しかもその場所は私の予想に反して重傷で、再手術が必要となり、手術後も関節可動域に制限を伴う後遺症が明らかになりました。
 いったん交通事故ののちに示談したのですが、何とかならないのでしょうか?
 

Answer

 交通事故の際に示談を交わしてしまった場合、原則論では、被害者がその示談書に記した一定額の支払を受けることで満足する意を示したものと解釈されます。
 その意味を持たせるため、交通事故の示談書には普通、その余の賠償請求権を放棄するという意味の言葉が盛り込まれています。

 その記載により、被害者はたとえ示談した当時に、記された一定額以上の損害が存在していたとしても、あるいは、示談したのちに過去に取り交わした一定額以上の後遺症による損害があらわれたとしても、示談書に記した一定額を上回る損害を請求できないと扱われます。これが原則論です。

 といっても、示談書にそのような言葉が盛り込まれていても、事後的に明らかになった後遺症の部分の賠償請求を、例外的に許容できる場面がないわけではありません。
 そのための典型的要件は、最高裁1968/3/15判時511号20頁に示されています。

・全損害を正確に把握しがたい状況で示談が交わされていること
・早急に少額の賠償金をもって満足する旨の示談がなされていること

→『これらの状況下では、示談によって被害者が放棄した損害賠償請求権の部分は示談当時予想していた損害に限定されたものと解釈される。示談当時予想できなかった不測の再手術やその後遺症についてまで賠償請求権を放棄した趣旨と解釈することはできない。』

 そして、最高裁1968/3/15がこういっているからといって、常に「全損害を正確に把握しがたい状況」「早急に」「少額の賠償金」という3要件を充足するまでの必要はないのではないかと言われています。

 が、一般に交通事故で示談したのちの再交渉は極めて難しく、裁判所の判断を仰がなければ解決できないのがほとんどです。

 交通事故に遭われた被害者は、示談を交わす前にぜひとも交通事故に強い弁護士、福岡の菅藤法律事務所にご相談ください。