同僚災害では交通事故の任意保険が使えない?

Question

 太宰府市の事務用品メーカーに勤めています。会社所有のクルマを同僚が運転し、私は助手席に乗り、2人で取引先に向かっていたところ、運転していた同僚がハンドルを切り違えて、クルマの左前部がはげしく電柱にぶつかり、私は鎖骨と肋骨を折る大けがを負い入院することになりました。会社は労災に加入していますし、会社所有のクルマは任意保険にも加入しています。

 ところが、クルマの任意保険会社から「治療費や休業補償や後遺症の補償は労災保険から出ますし、慰謝料は人身傷害保険から出ます。ただ、対人賠償保険は同僚災害ですので使えません。」との連絡が入りました。
 同僚災害の場合、労災保険や人身傷害保険が使えるけど、対人賠償保険が使えないことでどういう不都合があるのか、ピンとこないのですが?

Answer 

 同僚災害とは、自動車保険の任意約款では『被保険者(運転者)が、契約車両を使用者(雇用主)の業務に使用中、その業務に従事中の他の使用人(被害者)を怪我させた場合、被保険者が被害者に対して損害賠償を支払うために、任意保険は免責されて使用できない』という文言で表現されています。

 Qのケースのように、加害者と被害者が同じ会社に雇用され、2人が一緒に仕事に従事中に、加害者のミスで被害者が怪我した場合、加害者の賠償を担保する任意保険は適用されないのです。

 なぜ同僚災害で任意保険は免責になる規定を設けているのかは、車両が業務に使用される場合、車両の運行によって業務に従事する従業員は(運転手か否かを問わず)被災する危険が一般に高いことから、その危険を定型的に任意保険の支払対象から除外し、業務上の事故による損害の賠償は一般的に労災保険に委ねる制度をつくったものと理解されています(横浜地裁川崎支部1980/2/14交民集13巻1号207頁)。

 では労災保険や人身傷害保険が使えれば、対人賠償保険が使えなくても被害者が被った全ての損害をカバーできるのでしょうか?
 実は、労災保険では慰謝料部分をカバーできませんし、人身傷害保険では約款に定めた定額しか支払えず、その額は裁判基準を下回ることがほとんどなので、裁判基準と約款の定額との差額はカバーできないことになります。

 カバーされない不足部分を受け取るために被害者が講じることのできる手段は、Qのケースでは
①加害者個人に賠償請求する
②勤務先に使用者責任として賠償請求する
③自賠責保険が認定する器質所見を伴う後遺症が残存する場合には被害者自らが加入する任意保険会社に無保険車傷害保険金の支払を請求する(ただし同僚災害の場合に免責要件がついているかもしれません)、が考えられます。

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