治療費と休業補償を打ち切られた。労災保険に切り替えたいけど?

Question福岡県太宰府市の会社員です。退社途中で追突事故に遭いました。レントゲンやMRIには異常がなかったむち打ち症でした。
 労災保険で治療してもよかったのですが、相手損保がすぐに病院に一括対応してくれたのと、労災保険だと勤務先にいろいろ書類を作成してもらう必要が出て手間だと言われたので、労災保険は使わずに治療を開始しました。休業損害も毎月の内払は滞りなく実施されてきました。
 ところが、治療開始から4カ月めに相手損保から「病院に医療照会したが、もう症状に変化なく対症療法に終始しているような回答が届いたので、もう症状固定に達したとして治療費の一括対応は打ち切ります。」という連絡が来ました。
 ビックリして主治医に確認したら「たしかに相手損保にそういう回答は出したけど、もう治療を辞めていいとは書いてないし休業を継続する必要がないとも書いていない」と言ってくれました。私も相手損保の打ち切りに納得できません。打ち切り後の治療費の支払と休業補償を労災保険に切り替えたいのですが?

Answer 打ち切り後に治療を続ける手段として、社会保険を利用して私病扱いで(あるいは第三者行為による傷病届を社会保険に提出して)治療を継続する方法がよくつかわれています。
 この場合、窓口で3割の自己負担金を支払う必要があります。この3割の自己負担金は、症状固定にいまだ達していないとの判断をのちにもらえれば、のちに相手損保への賠償請求対象に含めることができます。

      他方、労災保険を利用することができるならば、窓口の自己負担金なしで治療を継続できますし、また、全額ではありませんが休業補償給付の受領が継続します。
 
従って、打ち切り後に労災保険に切り替えることができるならば、打ち切り前とあまり変わりなく治療や休業に専念することができます。

 ただし、労災保険に切り替えるためには、被害者が申請に対し、労基署の療養保険給付支給決定ならびに休業補償給付支給決定を受ける必要があります

 そのため、交通事故から一定期間経過後に労災保険に切り替える申請を受けた場合、労基署も被害者の申告のみに依拠せず、「まだ症状固定に達していないといえるのか。もしそうならば、なぜ相手損保は打ち切りをしたのか」と、症状固定に達しているか否かについて、医療機関にもそして相手損保にも照会して総合的に審査するのが普通です。
 その場面では、打ち切りをした相手損保の判断が誤っていると労基が納得した状況に達しない限り、労災保険への切り替えのための支給決定をもらうことは難しいのが実情です。
 なぜ労基署がそういう取り扱いをするかというと、労基署は被害者に治療費や休業損害を支払った場合相手損保に求償を講じることができるのですが、症状固定にもし達していたならば相手損保への求償はできなくなってしまうので、被害者には大変不満でしょうが、そのような慎重な取り扱いをしているのです。
 ですので、相手損保からの納得できない打ち切りを避けたい人は、治療当初から労災保険を利用したほうがベターと言えます。