仮定的代車料を認容した名古屋高裁1997/7/23を入手しました

平成9年7月23日判決言渡
平成9年(ネ)第10号、平成9年(ネ)第384号損害賠償請求控訴、同附帯控訴事件 (原審・名古屋地方裁判所平成6年(ワ)第1393号)
判  決
控訴人・附帯被控訴人(以下「控訴人」という。)  X
控訴人訴訟代理人弁護士 大  田  清  則
同          浅  井  岩  根
同          西  野  昭  雄
同          高  柳     元
同          内  藤  正  明

被控訴人・附帯控訴人(以下「被控訴人」という。)  Y
被控訴人訴訟代理人弁護士  山  下  勇  樹
主  文
控訴人の控訴及び被控訴人の附帯控訴をいずれも棄却する。
控訴費用は控訴人の、附帯控訴費用は被控訴人の各負担とする。
            事   実

第一 当事者の求める裁判

  一  控訴人

     1 原判決中、控訴人敗訴部分を取り消す。
     2 被控訴人は、控訴人に対し、494万0131円及びこれに対する平成5年11月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
     3 被控訴人の附帯控訴を棄却する。
     4 控訴費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。
     5 上記2,4につき仮執行宣言
  二  被控訴人
     1  控訴人の控訴を棄却する。
     2 原判決を次のとおり変更する。
     3 被控訴人は、控訴人に対し、94万6160円及びこれに対する平成5年11月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
     4 控訴人のその余の請求を棄却する。
    5 訴訟費用は、第一、二審とも控訴人の負担とする。

第二  当事者の主張
    当事者の主張は、次に付加するほか原判決「事実及び理由」欄の「第二 事案の概要」の記載を引用する。
   1 原判決3枚目裏3行目と同4行目の間に、次のとおり付加する。
     「(一) 本件事故による控訴人車の損傷は全損に相当する重大なものであった。すなわち、控訴人車は、本件事故によりモノコックボディ、後サスペンションメンバー(サブフレーム)、サスペンション及び車軸に対する重大な損傷を受け、充分な修理を行ってもホイールベースの左右差を調整できないなどのため、ブレーキを踏むとハンドルを取られる、走行中に車両がふらつく(真っ直ぐに走らない)、カーブを走行中にリアのグリップが失われる、車両が振動するという足廻りに障害のある欠陥車となった。
    また、修理代金188万1531円が控訴人車の本件事故後の時価126万7000円より大きいことからみて、控訴人車は、物理的かつ経済的に修理不能であり、かつ、フレーム等車体の本質的部分に重大な損傷が生じ、その買換えが社会通念上相当と認められる場合に該当する。

    (二) 控訴人は、本件事故後、控訴人車の買換えを強く主張したが、損害調査会社のアジャスターBが修理を前提にした賠償しかできないと控訴人の申入れを拒否したため、やむを得ず控訴人車の修理をすることにした。
       したがって、控訴人において修理を選択したことに過失はなく、むしろ、加害者である被控訴人側に過失があるから、被控訴人は控訴人に対し、修理を選択したことによって拡大した以下の損害722万0131円を賠償する責任がある。」

   2 同3枚目裏4行目の「(一)」を「(1)」と訂正する。
   3 同5行目の「(二)」を「(2)」と訂正し、同7行目と同8行目の間に「ただし、右中古車市場価格は338万円、右取得税は7万2900円、右登録諸費用は2万5000円、右事故車修理後査定価格は126万7000円である。」を付加する。
   4 同8行目の「(三)」を「(3)」と訂正する。

5 同10 行目の「(四)」を「(4)」と、同一一行目の「(慰謝料を含む。)」を「控訴人は、本件事故により、警察・加害者・保険会社への対応、打合せ、控訴人車の修理、証拠の保全・収集、学説・判例・実務慣行の調査、弁護士の依頼などに神経をすり減らし、多額の調査費用を費やし、貴重かつ多大な時間をさかざるを得なかった。他方、被控訴人は、本件事故直後に現場を立ち去ろうとしたり、一時停止につき虚言を弄して事態を紛糾させたり、何の謝罪もせず、不誠実な態度に終始した。控訴人は、これら無形の損害(慰謝料)は30万円を下らない。」と各訂正する。
    6 同12行目の「(五)」を「(5)」と訂正する。

第三  証拠
     証拠関係は、原審記録中の書証目録及び証人等目録並びに当審記録中の書証目録の記載を引用する。
     理由
  一 当裁判所も、控訴人の被控訴人に対する請求は、原審が認容した限度で理由があり、その余は失当として棄却すべきものと判断するものであって、その理由は、次のとおり付加するほか原判決「事実及び理由」欄の「第三 争点に対する判断」の記載を引用する。
   1 原判決5枚目裏4行目の「なり、」を「なったこと、証人A自動車は修理のため、控訴人車を本件事故現場からレッカー車で修理工場に搬入する道中において、控訴人車の右前部を電柱に衝突させてしまったこと、控訴人車の修理後に作成された見積書(甲第4号証)の修理見積合計額は188万1531円であること、右金額の中には本件事故による修理分と右搬入時における事故による修理分が重複して記載されているが、重複した分について右各事故による修理分を明確に区別できないことが認められるところ、これに後記認定の本件事故の態様を併せ考慮すると、」と訂正する。

   2 同5枚目裏12行目の「走行していること」の次に「、修理後も機能的にみて直進走行やコーナーリングに影響があること」を付加する。
    3 同6枚目表4行目の「証人」の前に「甲第8号証、」を、同行目「よれば、」の次に「控訴人は、控訴人車修理中、レンタカーは借りていないけれども、控訴人車は仕事の際にも使用していたこと、控訴人車の修理は平成6年2月15日までかかったこと、控訴人は右修理期間中、勤務先の自動車に乗ったり、タクシーや友人の自動車を利用したりしたこと、控訴人車クラスの車両のレンタル料金は一日2万円を下回らないことが認められることなどを考慮すると、」を各付加する。

    4 同6枚目表12行目と13行目の間に次のとおり付加する。
      「なお、控訴人は、控訴人車が本件事故により買換え相当の損傷を負い、控訴人が買換え希望をしたにもかかわらず、保険会社側の都合で修理せざるを得なくなり、そのため、買換えの場合よりも損害が大きくなってしまったのであるから、本件事故による損害の算定の前提として、控訴人車が全損相当事案であるか否かについて判断すべきであると主張する。しかし、控訴人車は現実に修理を終了し、控訴人は控訴人車を現実に利用していることからみて、右修理に伴う損害について判断すれば足り、それ以上に控訴人主張の点を判断する必要性はないというべきである。」

  二 よって、原判決は相当であって、控訴人の控訴及び被控訴人の附帯控訴はいずれも理由がないから、これを棄却することとし、控訴費用及び附帯控訴費用の負担につき民事訴訟法95条、89条を適用して、主文のとおり判決する。
     名古屋高等裁判所民事第2部
      裁判長裁判官     渋  川     満
      裁判官             遠  山  和  光
      裁判官             河  野  正  実