福岡市ニューオータニ博多で中村智彦教授の講演を聞きました

写真をいちおう撮ってはいるのですが、ウェブサイトの掲載了解をいただいていないので、パブリシティ権の観点からアップロードは控えます、ご容赦を。

中村智彦教授は神戸国際大学経済学部に所属しています。NTV「世界一受けたい授業」の工場見学シリーズで有名な方ですね。有名タレントでもあり、名刺交換させてもらって嬉しがった私はすこしミーハーな性格です。

生き残る中小企業の条件~新たな活路を模索する。九州の経営者へ提言」という演題で1時間半お話されました。ウェブサイトで講演録がまとめられていないようなので、折角の機会ですから、私なりにまとめてみました。

九州では液晶パネル工場や太陽電池工場が大企業により次々と立地してされていますけれども、大企業誘致という従来の手法では人口増による消費増はともかく、地元の中小企業が恩恵を被ることはないと喝破されていました。

例えばクルマのボディ工場であればサイドミラーだったりワイパーだったり周辺部品を近隣の中小企業に製造させていたので、大企業も中小企業も仕事が増えるのですが、今どきの工場は製造を人件費の安い外国にそれらの仕事を回すのがごく普通になっているからです。

まして2011年12月にパナソニックが尼崎市から何十億円もの補助金を受けながら開設した尼崎工場をわずか数年で閉鎖したように、大企業は生産拠点自体を国内から平気で引き揚げる時代ですから、ごく数年の効果も期待し難いと。

次に、今は情報が氾濫しているが、雰囲気で判断するのではなく、正確な情報をきちんと掴み取る感性が大事だと強調されていました。この点、先々月講演を聞いた藻谷浩介氏(デフレの正体 著者)も偶然にも同じことを言っていましたね。

 

中村教授は例として「経産省は産学連携で次世代自動車を推奨している。しかし、2020年の自動車の世界での売れ行き予測では、次世代自動車はせいぜい年間1000万台で、従来のエンジン搭載車は年間1億台

幾ら次世代自動車が今後のびるといっても、市場規模で利益額を比較すれば話にならない。にもかかわらず、次世代自動車ばかりニュースでとりあげられており、つい次世代自動車に早く手を出さないと時代に乗り遅れると思わされる」と。


ほかに、きちんとデータで実証して改善策を見つける手法も紹介していました。具体的には、地方の眼鏡業界が売り上げ不振に悩んでおり、それは格安メガネチェーン店の台頭のせいだと業界の集いで店主たちが愚痴をこぼしていたそうです。

そこで中村教授は「試しにお金はかからないので、従業員それから家族に匿名で自店が他店に勝るところ、劣るところをそれぞれ10個ずつ(数を減らしての回答はNG)列挙するアンケートを集めて下さい」と組合の店主たちに指示しました。

そのアンケートにあがった劣るところを並べてみたら、「ショーウィンドウが汚い」「値札が見にくい」「店がゴミゴミ散らかっている」と、ずらずら店主がこぼしていた値段以外の、新規客が敬遠するであろう理由があがり、愕然としたそうです。売上低迷を他所のせいにばかりすると自分の改善点に気づけない好例だそうです。

さらに高齢者マーケットというけれども、これからの高齢者(例:団塊の世代は今年65歳)は20年前にバブルを謳歌して贅沢を知っており、世間が思い込んでいる姿以上にアクティブで若さ志向であるから、従来の高齢者をイメージしてマーケティングしては大変危険と指摘していました。

例えばインターネット普及率も10~20代の98%はわかるでしょうが、驚くなかれ65~69歳で60%にも及んでいます(総務省の統計ですのでネットで、インターネット 利用率 世代別で検索できます)。70~79歳で40%もあるんです。

スマホ普及もあり、ネットの便利さは一度利用すると手放せないから、この数値が今後減ることはまずありえず、『ネットを駆使する高齢者が増える=若者と選択眼が近似していく』ことを踏まえての企業行動が必要と言われていました。

ついでに、自分たちの思い込みに驚かされたのがサザエさんの波平さんの年齢が54歳、フネさんの年齢が48歳という設定であること。いまどきあんな格好の54歳とか48歳はいずいまやノスタルジーであって、『中小企業は自分から積極的にインターネットに情報発信しないと、世代を問わず利用者に存在自体が自覚してもらえない、この流れが巻き戻ることはない』、これを強調されていました。

最後に、タイガー・イケア・H&Mが北欧を超えてアジアに進出してくるのは端的に人口が少なく国内市場が小さいから必要に迫られて(デンマークの人口は大阪府よりも少ない)のことである。

いまの北欧はこれからの日本、今後、人口減少社会に向かう日本の中小企業も、日本語以外を使って外国に打って出なければ国内市場では賄いきれない。

そして、高品質のものであれば(ブランド化に成功すれば)世界中何処でも円高だろうが需要が無くなることはないので、とにかく圧倒的な技術力を身につけてそれをいろんな分野に応用してもらうことで生き残る道はあるとまとめていました。