前にむち打ちで14級認定を受けた人が同じ個所をまた怪我したら?

Question

 8年前に追突事故に遭い、画像所見に異常はなかったのですが、半年間治療を続けても腰痛が止まずに14級9号の後遺障害認定を受けて、示談決着しました。

 前の追突事故から8年経過し、腰の症状も3年ほど前から全く感じないで暮らしていたのですが、運が悪いことに赤信号を無視して交差点に進入してきたクルマに勢いよくぶつけられ、私のクルマが1回転横転し大破する交通事故に遭いました。

 今度も奇跡的にクルマのクッションが上手く作用したのか、骨折など画像所見に異常を伴う怪我にはならなかったのですが、せっかくよくなっていた腰が衝突の衝撃でひどく痛むようになり、半年間治療を続けても一向に良くなりません。むしろ前の追突事故の時よりひどい痛みが残っています。

 後遺症申請をしたところ「前回の14級9号を加重する程度に至らず、後遺障害非該当」という通知が来ました。

 一度、14級認定を受けた場所と同じ個所をまた怪我しても画像所見に異常がなければ後遺症は絶対に認定されないのでしょうか?

Answer

 まず、自賠責の加重という概念から説明させていただきます。

 加重とは、すでに後遺障害のあった人が、交通事故による同一部位に、再度の傷害を負い、従前の後遺障害よりもその程度が重くなることを言います。  
 すでにあった後遺障害は、先天的なものか、交通事故以外の原因によるかは問いません。

 さてQのケースについていうと、前の事故で腰に14級の後遺症を抱えており、今回の交通事故でも腰に再度の傷害を負ったものの、その程度は画像所見を欠いており14級を超えるものではないことから、加重する程度に至らないので、結果として、後遺障害非該当という評価を下されています。

 これに対し、「確かに、前の事故では14級の認定を受けた。でも、その事故は8年前のことで、3年前にもうすっかり症状が消えている。今の痛みはあくまで今度の交通事故のせいといえるのでは」という反論が当然出てきます。

 ところが、自賠責ではいったん当該部位に認定した後遺障害は一生涯にわたりずっと続く(専門用語では永久残存性と言います)という仮定で後遺症認定を下しています。
 そのため、いったん14級を評価した部位には、たとえその後で被った交通事故の際に症状が消えていようとも、2度と14級を認定しない運用を自賠責はとっているのです。

 例外的に、裁判所の判断を仰ぐ方法により、2つの交通事故の間隔、その間の症状の推移、2度めの交通事故の衝撃度合など、さまざまな事情を斟酌して、自賠責の運用に縛られず、同一部位に14級認定を下してもらえる場合もないわけではありません(横浜地裁2014/8/28自保ジ1934号73頁)。
 自賠責の縛りを解き放つには個別具体的な考察を行う司法判断に拠ることになります

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