交通事故で民事裁判になると必ず判決になるの?

Question

交通事故で後遺障害の残る被害に遭いました。依頼した弁護士に相手損保と示談交渉してもらいましたが、こちらの請求額と相手損保からの回答額に大きな差があり、弁護士と協議して民事裁判を起こすことを決めました。
ところで、交通事故で民事裁判を起こしたら必ず判決になるのですか?

Answer

交通事故被害の解決で弁護士を依頼した場合、即裁判しましょうということにはならず、示談交渉で決着をつけることがもっとも多いのですが、民事裁判を利用することもそれなりにあります。

民事裁判を利用する場面とは、示談交渉で決着をつけることができない、または、その選択が勿体ない(上手い言い方ではないですけれども)場面です。
そう考えられる場面がいくつかありますが、代表的な3つを挙げておきます。

1、事故態様についてお互いの言い分が食い違っており、その食い違いが過失割合に影響してくるため、証人尋問を経ないと事故態様が確定できない場合

例えば、双方が青信号で交差点に進入したと主張したり、交差点進入前に一時停止をしたかウィンカーを出したかなどで食い違いがある場合があげられます。

2、交通事故被害者の請求額と相手損保の回答額との間に大きな差があり、お互いに自分に理ありと考えて譲らず示談交渉では決着つかない場合

例えば、交通事故被害者に後遺障害が残った場面で、労働能力喪失期間や労働能力喪失率について、お互いに自己の主張を裏づける裁判例や文献を引用して譲らない場合があげられます。

3、民事裁判を選択したならば示談交渉に比べ加算される弁護士費用や遅延損害金が無視できないほど大きい場合

例えば、正当と考えられる損害額が2000万円で事故発生から解決までに2年かかり弁護士を依頼したとなると、民事裁判の判決ならば、2年分の遅延損害金200万円と弁護士費用200万円が加算されるのが普通です。
これに対し、示談交渉だと遅延損害金も弁護士費用も加算されないのが普通ですので、両者の差は400万円にもなります。

では上記の理由で、交通事故で民事裁判を起こすことを選択した場合、必ず判決という形で終結するのかといえばむしろ逆です
平成23年度の東京地裁交通部の統計ですと、判決まで至るのが約20%、和解で終わるのが約75%、そのほかが約5%といった報告が出ています。私が引き受けた交通事故の事件でも、和解で終わるケースはかなりの数にのぼります。

決して適当な手打ち解決を勧めているのではなく、次のように依頼者にとって和解終結の方が判決よりもベターであることが少なくないからです。

Ⅰ、敗訴(逆転敗訴も含みます)リスクを回避するために
民事裁判は、お互いが自分に有利になるよう主張立証活動を行います。 必ずしもシロクロはっきりせず、お互いの言い分や証拠の説得力が五分五分とかわずかな差しかなく、裁判官によってどちらに軍配をあげてもおかしくないケースもあります。一審・二審・最高裁で結論が逆転するケースなどはまさにその典型例でしょう。
裁判の過程で結論が逆転したりすると、どちらに軍配をあげてもおかしくなく、どちらにもそれなりの分があるのに、100か0の結論になってしまうこともあるのです。
このように、双方が判決を選択すると敗訴(逆転敗訴も含みます)リスクを抱えるような不確実な場合には、少しは自分の請求を譲歩した面があるけれども、確実にメリットを確保することを選択すべく、民事裁判でも判決を選択せずに和解で解決することがあります。

Ⅱ、解決までの時間短縮を狙って
交通事故で民事裁判を選択すると、後遺障害の種類や事故態様によるのですが、思いのほか解決までに時間を要することがあります(全ての交通事故の民事裁判で常に時間がやたらかかるわけではありません。その見通しは法律相談などで私に聞いていただいたほうがよいです)。
ときには、一審で当方の主張が通っても、相手が納得せず二審に控訴するとか最高裁に上告する可能性が高いこともあります。かたや和解で終結させるとそこで案件は完全に終了します。
そこで、少しは自分の請求を譲歩した面はあるけれども、判決を選択する場合に比べてより早期に完全決着を図るために、民事裁判でも判決を選択せずに和解で解決することがあります。

Ⅲ、裁判所から勧試された和解案がほぼ判決と同じ内容だと言われた
これだと、勧試された和解案が自分の意向に沿っているならば、わざわざ判決を選択する理由がありませんよね。
むろん相手がその和解案も止むなしと納得した場合しか和解はできませんが、先ほど紹介した東京地裁の統計の数値から察するに、相手も止むなしと納得する場面も実際にはかなり多いようです。

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