過失相殺

歩きスマホのとき自転車にぶつかられた交通事故での過失割合は

  • 更新日:2023.5.16
  • 投稿日:2016.4.25
福岡県古賀市の歩道を、左手にスマホを持って人と会話しながら移動していたところ、対向正面から自転車がやってきました。自転車通行可の歩道で、自転車と歩行者の通行区分はありません。
私はそのまま歩いていたら、すれ違う際に自転車の右ハンドルが右手にぶつかり怪我する交通事故に遭いました。自転車は歩道中央から車道寄りとは逆の位置を走行していたことになります。
さいわい自転車は個人賠償責任保険に加入していたので、泣き寝入りすることはありませんでしたが、歩きスマホをしていたため、とっさによけきれなかった私に過失があることになるのでしょうか?

実際にあったケースとは

名古屋地裁2014/12/26自保ジ1941号170頁の参考にしています。そのケースでは自転車運転者は10万円の罰金を受けています。
自転車運転者は「歩行者も対向してくる自転車を認識できていた。にもかかわらず歩きスマホに注意を取られ、前方注視がおろそかになり漫然と歩行していたため本件事故に遭遇したのであるから、幾許かの過失相殺がなされるべき」と主張してきました。

 これに対し裁判所は「歩行者は歩道上において最大限保護されるべき存在である。他方、自転車には歩行者を妨げないよう一時停止義務を負っているほか、歩道を通行する際は歩道中央から車道寄りの部分を徐行しなければならない義務が課せられているところ(道交法63条の4第2項本文)、加害者はそれを怠っている。従って、歩行者に過失相殺が適用される余地はない」と一蹴しています。
歩きスマホ

歩きスマホの過失

 ただ、歩きスマホという行為そのものがマナー違反を超えて、接触事故を惹起しやすい危険を内包するものと携帯電話各社がウェブサイトで呼びかけたり、ACがCMで歩きスマホを辞めるよう啓発している今、交通弱者だから全く過失相殺しないでいいという割り切りには疑問が残ります。

 歩きスマホをしていなければ、歩行者もまた加害車両の接近を認識し衝突を回避することもより行いやすくなるのですから。そう考えると、対自転車の場合に過失割合を1~2割歩行者に講じることも不合理ではないように私個人は思うのですが、今後の裁判例の蓄積に待つのが一番でしょうね。

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